【連載】第二回 勝たないマンガは売れない?人気マンガの勝利の方程式(東町青従)

どうも漫画家の東町です!
「面白いマンガに必要なこと」をテーマにしたこの企画、早くも第2回目を迎えました。 今回は人気マンガにある1つの共通点にフォーカスして掘り下げてみようと思います。

キャラクターの主張に説得力を持たせる

人気マンガに共通点があるとしたらそれはどこなのか。

今回焦点を当てるのは「勝っている」という共通点です。

勝つというのは
「バトルマンガの主人公が敵を倒す」
ことだけではなく

「スポーツマンガの主人公が夢を叶えてプロになる」
「恋愛マンガのヒロインが片想いの相手と結ばれる」
これらもその一つです。
つまり、成功体験ということです。

大人気マンガ「ONE PIECE」の主人公、モンキー・D・ルフィの夢は「海賊王になること」です。
読者は彼の言葉を信じ応援したくなります。

理由はいくつかありますが、
その内の一つは間違いなく、彼が強いことにあるでしょう。

第一話でルフィは自分の何倍も大きな海王類・近海のヌシを
パンチ一発で仕留めた後で、こう言います。

「海賊王におれはなる!!!」

これが負けた後だったらどうでしょう?
誰も彼の言葉を信じれるはずがありません。

圧倒的な強さを示した後で、キャラクターが夢や目標を口にすることで読者は、
「こいつなら海賊王になれる!」
と彼から目が離せなくなったのです。

読者は”負け”に共感しづらい

「勝ち続けている人が負けるとこを見てみたい」
そんな風に思う人もいるでしょう。

「勝ち続けるなんてありえない」
「勝ってばっかじゃつまらないじゃないか」
そういった考えの人もいるかと思います。

ですが基本的に主人公が負けて、
「よっしゃ!」と思う読者はいません。

そして特に、子どものように若い読者であればあるほど”負け”には共感できません。
なぜなら、まだ本気で戦ったこともなければ、負けたこともないからです。

読者の年齢層が高い青年誌であれば、
主人公が負けても共感できる人もいることでしょう。

ですが大人になれば、仕事に追われ、人間関係に疲れ、病気になったりと、
悩みを抱えてる人は大勢います。

そんな日常を抜け出し、束の間の息抜きに読むマンガの中でまで、
“負け”や”失敗”を味わいたいでしょうか?

例えば、「名探偵コナン」の主人公・コナンが事件を解決できないまま諦めたら、
読者はスッキリしたり納得したりすることがあるでしょうか?

もちろん答えはノーです。

ただ勝つだけでは面白くない

先述しましたが、
「勝ってばっかじゃつまらない」
と思う人がいるのも確かです。

でも、そこが漫画家の腕の見せ所ではないでしょうか?
勝つだけでは面白くない。それなら、勝ち方を工夫すればいいのです。

一番分かりやすいのは、
「バトルマンガの主人公が必殺技で敵を倒す」というのがそれにあたります。

「こんな敵にどうやって勝つんだ!?」
というピンチの後に、主人公が読者をあっと言わせる切り札で敵を倒す。
これが工夫です。

しかし、必殺技か使えないジャンルのマンガもあります。
では人気マンガを例に見ていきましょう。

ボクシングマンガ「はじめの一歩」の第一話では、
主人公・幕ノ内一歩がプロボクサーの鷹村守と出会い、ボクシングを教えてほしいと頼みます。

ここでの”成功”は主人公の要求が通ることですが、このまま素直に聞き入れてもらったのでは面白くありません。
そこで鷹村は一歩に課題を出します。

それは「木から落ちてくる葉っぱを素手で10枚掴むこと」

ただパンチ力を示したり、誰かと戦って勝ったりするのでは、普通なので面白くありません。
こうして工夫することで読者の心も掴むことができるのです。

“負け”にも工夫が必要

これも先述しましたが、
「勝ち続けるなんてありえない」
という考えの人もいることでしょう。

確かにそれではあまりに現実離れしていて、気持ちが冷めてしまう読者もいるかもしれません。

ですが、ただ主人公が負けるだけでは読者を悲しませてしまう。
そんな時は負け方も工夫するのです。

例えば
「はじめの一歩」なら、試合ではなく練習のスパーリングで負ける。

「テニスの王子様」だと、試合では勝つが家でお父さんに毎日負けてる。

「ONE PIECE」では、ルフィ自身が負けたわけではないが、兄が目の前で死に、戦争に敗れる。

こうして、現在進行系で戦う相手には勝っても、それ以外の所で上手く負けさせて読者の共感を得ているのです。

また「はじめの一歩」で主人公が初めて試合で負けたときには、その負けを機に必殺技を覚えました。
このように”意味のある負け”なら読者も納得してくれるかと思います。

おわりに

必ずしも明るい話やハッピーエンドである必要はありません。
ただ注意したいのは”読者の予想を裏切っても期待は裏切らない”ということです。

例えば復習劇などの重めの話であっても
最終的に主人公が願望を叶えるのであれば問題ありません。
そのキャラクターにとっての成功体験であればいいのです。

そしてその願望が叶えられた時に”一工夫”加えることができれば、より読者の心を掴むことができるでしょう。

次回は実際に人気マンガの1話目を分解して解説してみようと思います。 先述した”一工夫”も合わせて説明しますのでお楽しみに!

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