クリエイターが知っておきたい著作権の基本

著作権って何?

著作権とは、クリエイターが自身の作品を保護し、その作品の利用方法を自ら決定できる権利のことです。
たとえば、文学、音楽、絵画、映画、漫画などの作品が無断でコピーされたり、改変されたり、商業目的で利用されたりするのを防ぐための法的な保護が与えられます。
著作権は創作物が作られた瞬間に発生し、著作者の死後も一定期間、権利が保護されます。日本では、著作者の死後70年間、著作権が有効です。この期間中、著作物を利用する場合、著作者またはその相続人から許可を得る必要があり、無断で利用した場合には著作権侵害となります。

著作権の権利とは?

著作権の権利とは?

制作活動において知っておきたい著作権について説明します。
著作権は、「権利の束」と呼ばれることがあります。これは、著作権が一つの単純な権利ではなく、複数の異なる権利が集まったものであるからです。
著作権にはどのような権利が含まれているのでしょうか?

複製権(ふくせいけん)第21条

複製権とは、著作権の一部であり、著作物を無断でコピー(複製)することを防ぐために設けられた権利です。この権利は、著作者や権利保持者にのみ、作品の複製を許可するか否かを決定する権利を与えます。
ただし、私的利用のための複製(個人的に利用するために限られたコピー)は、法律で例外として認められる場合があります。

上演権・演奏権(じょうえんけん・えんそうけん)第22条

上演権と演奏権は、著作物の公演や演奏に関する著作権の一部であり、それぞれ異なる種類の著作物に適用されます。

主な違い

上演権は、主に舞台作品や演劇作品の公演に関連しており、著作物を舞台で演じることに関する権利です。
演奏権は、音楽作品の演奏に関連しており、音楽が公に演奏されることに関する権利です。

どちらの権利も、著作物が公に利用される際の適切な許可と対価を管理し、著作権者の意図や利益を保護するために重要です。

上映権(じょうえいけん)第22条の2

上映権とは、著作物を公に「スクリーンやモニターなどで映像を映し出して見せる」ことに関する権利です。これは、映画やテレビ番組、ビデオ、デジタル映像作品などの著作物に適用され、著作者や権利者がこれらの作品がどこで、どのように上映されるかを管理する権利を持っています。
インターネットを通じた動画のストリーミングも、広義の「上映」に含まれることがありますが、これは別途「公衆送信権」という権利によって保護されます。

公衆送信権(こうしゅうそうしんけん)第23条

公衆送信権とは、インターネットやテレビ、ラジオなどを通じて、著作物を公に送信することに関する権利です。この権利により、著作者や権利者は、著作物がどのように、どこで送信されるかを管理し、許可を与える権利を持ちます。

公の伝達権(おおやけのでんたつけん)第23条第2項

公の伝達権とは、著作物を公衆に向けて伝達することに関する権利です。具体的には、映画や放送などの著作物を、家庭用の受信機を介さずに直接公衆に伝える行為を管理する権利を指します。
この権利は、著作物が無断で広く公開されることを防ぐために設けられています。

口述権(こうじゅつけん)第24条

口述権とは、著作物を公に口頭で伝達する際に必要となる著作権の一部です。これは、著作物(特に言語作品)を口述することに関する権利であり、著作者や権利者が、その作品がどのように、誰によって公に朗読や口述されるかを管理し、許可する権利を持っています。

展示権(てんじけん)第25条

展示権とは、著作権の一部であり、美術作品や写真などの著作物を公に展示する権利を指します。この権利により、著作者や権利者は作品がどこで、どのように展示されるかを管理し、無断で展示されることを防ぎます。
展示権は主に視覚芸術作品に関連しますが、美術的価値のある工芸品やデザイン作品などにも適用されることがあります。無断でこれらの作品を展示した場合、著作権の侵害となり、法的な責任が生じる可能性があります。
ただし、著作権が切れてパブリックドメインに入った作品については、展示権の適用はなく、自由に展示することができます。

譲渡権(じょうとけん)第26条の2

譲渡権とは、著作物のオリジナルやそのコピー(複製物)を、販売や贈与などの形で他人に譲渡することに関する権利です。この権利により、著作者や権利者は、作品の物理的なコピーがどのように流通するかを管理し、無断で販売や配布されることを防ぎます。

貸与権(たいよけん)第26条の3

貸与権とは、著作物のコピーを一時的に他人に貸し出すことを管理する権利です。著作者や権利者が、著作物の複製物がどのように貸し出されるかを制御し、無断で貸与されることを防ぐために存在します。
貸与権が特に重要なのは、作品の貸し出しによって、販売機会が損なわれる可能性がある場合です。たとえば、レンタルショップで映画や音楽を貸し出すことで、消費者がそれらを購入する代わりに借りることを選ぶと、著作者にとっての収益機会が減少します。
そのため、著作者や権利者は貸与に対しても対価を得る権利を持っており、貸し出しを行う際には、貸与権に基づいてライセンス料などを支払うことが必要です。

頒布権(はんぷけん)第26条

頒布権とは、著作物のコピーを公に配布する権利です。
著作者や権利者が、その著作物のコピーがどのように、どのような方法で配布されるかを管理するために設けられています。この権利により、著作物が無断で配布されることを防ぐことができます。
頒布権の消尽という概念もあります。これは、著作物のコピーが一度正規に販売された後、そのコピーの譲渡に関しては著作権者の頒布権が消滅するというものです。例えば、一度購入した本やCDを再販することは、頒布権の消尽によって認められています。

翻訳権・翻案権(ほんやくけん・ほんあんけん)第27条

翻訳権と翻案権は、著作物の利用に関する異なる側面を管理する著作権の一部であり、それぞれ特定の改変や再利用に関連しています。

翻訳権とは、著作物を他の言語に翻訳する権利です。この権利により、著作者は自分の作品がどのように翻訳されるかを管理し、無断で翻訳されることを防ぐことができます。
翻案権とは、著作物を元にして新たな形態や表現に改変する権利です。翻案権は、著作物が別の形式や媒体で表現される際に、著作者の意図や作品の本質を守るために存在します。

どちらの権利も、著作物の利用に関して著作者の意図と権利を保護し、適切な対価を得るために重要です。

二次的著作物の利用権(にじてきちょさくぶつのりようけん)第28条

二次的著作物の利用権とは、元の作品を基にして作られた二次的著作物(翻訳、映画化、編曲など)を公開したり、利用したりするための権利を指します。
二次的著作物が存在しても、その利用(公開、販売、配信など)には、元の著作物の著作権者の許可が必要です。

例:映画として完成した作品(元は漫画)を公開、配信、販売する際には、元の漫画の著作権者の許可を得なければならず、無断で公開することはできません。

公表権(こうひょうけん)第18条

公表権とは、著作物を公に発表するかどうか、どのように発表するかを決定する権利です。この権利は、著作者が自らの著作物をどのタイミングで、どのような形で公開するかを管理するために存在します。
公表権は、著作者の意向に基づいて作品の公開をコントロールし、無断で公開されることを防ぐ役割を果たします。

氏名表示権(しめいひょうじけん)第19条

氏名表示権とは、著作物が公に利用される際に、著作者の名前を適切に表示する権利です。
これは著作者が自分の作品に対する認知を得るための権利であり、著作物がどのように公開されるか、どのように著作者の名前が表示されるかを管理するものです。

同一性保持権(どういつせいほじけん)第20条

同一性保持権とは、著作物が改変、変更、切除、または損なわれることなく、著作者の意図や作品の本質を保つ権利です。
この権利により、著作者は自分の作品が無断で変更されたり、歪められたりすることから守ることができます。

著作隣接権(ちょさくりんせつけん)※著作権隣接権とも呼ばれます

著作隣接権とは、著作権とは異なり、著作物そのものではなく、著作物の利用や伝達に関わる権利を指します。
著作隣接権は、著作物の創作に直接関与していないが、著作物の利用や公表に重要な役割を果たす人々(例:実演家、レコード製作者、放送局など)を保護するために設けられた権利です。

漫画の著作物とは?

漫画の著作物とは、物語のストーリー、キャラクターデザイン、ビジュアルアート、テキストなど、漫画の内容や形式を構成するすべての要素が含まれます。具体的には、ストーリーの展開やキャラクターの外見、漫画内の絵やページレイアウト、セリフやナレーションなどが著作権で保護されます。著作権者はこれらの要素を複製、配布、さらにはアニメ化や映画化などの派生作品に利用する権利を持っています。

まとめ

制作活動において、著作権の制約を理解していないと、自由に使える素材が限られてしまい、制作の幅が狭くなることがあります。
著作権フリーやライセンスが明示された素材を利用する方法を知ることが重要となります。
また、他人の作品を無断で使用することは、クリエイターとしての倫理に反する場合があり、正当な方法で他人の作品を使用することで、尊重と信頼を築くことができます。
著作権についての基本的な理解を持つことは、クリエイティブな制作活動において非常に大切なことです。
今回サムネイルで使用させていただいた、「ブラックジャックによろしく」は、漫画家の佐藤秀峰さんが著作権を自由化し二次利用ができるようになりました。自由化し10年以上がたっておりますが、色んなジャンルでパロディとして使用され新しい作品が生まれています。 二次利用フリーの作品がなかなかない中、こういった試みをしていただきありがたいです。

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