【連載】第四回 ストーリーを「面白くする」「盛り上げる」ためのコツ(青木健生)

はじめに

こんにちは!漫画制作者の青木健生です。  今回は「構成」の応用編として、ストーリーを「面白くする」「盛り上げる」ためのコツについてお話します。  読者が作品を「面白い!」と思ってくれたり、「ストーリーが盛り上がってきた!」と思ったりするのには、ちゃんとした理由があるのです。

「起」と「結」のつなげ方

第2回ではストーリーを4つに分ける構成法が「起承転結」で、そのうちの「起」がトップシーン、「転」がクライマックスだとお話しました。 今回はまずは、「どうやってトップシーンとクライマックスシーンをつなげるか」についてお話します。 「起」と「転」の間、つまり「承」は、そのストーリーの中で一番長い部分です。 承が退屈だと、うまくシーンやエピソードがつながらないと、多くの読者がそこで読むのをやめてしまいます。どのような意図・理由をもって承の部分を構成するかは、ストーリーを「面白くする」「盛り上げる」ためには非常に重要なのです。

ストーリーの構成

漫画に限らず、どのストーリーもそもそもは 「登場人物の『行動』と、『反応』のくり返し(ループ)」 で展開するものです。 ●主人公が『行動』し、その行動に他の登場人物が『反応』する ●主人公の行動を受けて他の登場人物が『行動』し、その行動に主人公が『反応』する この2つをくり返して、主人公と他の登場人物がテニスのラリーのように「行動』」を「反応」で打ち返したり、「行動」をぶつけあったりすることでストーリーは展開し、盛り上がるのです。 そして主人公というのは、その作品の中では ●作者が一番訴えたい「テーマ」を読者に伝える存在 ●数ある登場人物の中で一番キャラクターが立っている存在 であるべきです。 そんな作品の「看板」だとも言える主人公は、とにかくたくさん登場させて、たくさん「行動」をさせましょう。

主人公の「行動」について

主人公が行った行動については、そのすべてに彼・彼女の「キャラクター」や「感情」を込めることができるとベストです。 「そういう性格だから、そう殴った」 「すごくいいヤツだから、そんなことをした」 「悲しくなったから、そんなことをした」 のように「行動した理由・動機」と、その主人公のキャラクター(個性・能力・魅力)や喜怒哀楽と直結させるべきです。 そうすれば、その行動がただの「ストーリーを進ませるための行動」にならずに、読者を引き込むための色々な要素も詰まった「見せ場」にもできるのです。 「その『行動』は その主人公しかやらない」ぐらいまで個々の行動を練りこむことができれば、そのストーリーは自然と「面白い」ストーリーになっているはずです。

「行動」と「反応」のループ

主人公に「行動」をさせた時は、すみやかに他の登場人物に「反応」をさせましょう。 名作「キャプテン翼」では主人公の大空翼がドリブルで抜いたり、見事なパスやシュートを放つたびに、相手チームの選手が「なにっ!」と叫んでくれます。 その「なにっ!」という『反応』がなければ、翼君の見事なプレイが目立たないですし、「映えない」のです。 歌舞伎などでも主人公を目立たせるために、敵役や脇役の役者さんが大げさにやられたり、トンボを切ってから倒れたりします。 その伝統は時代劇や、仮面ライダーなどのヒーローものにも受け継がれています。 周りが大げさなくらい『反応』をして負けてくれるから、主人公のカッコよさや強さ、つまり魅力や能力などのキャラクターが際だつのです。

主人公にも『反応』をさせよう

また、そのような「『行動』と『反応』のループ」による演出のやり方を知った上で、主人公にも誰かの「行動」に対して「反応」をさせましょう。 その「誰か」とは、主人公の宿命のライバルかもしれません。 片想いしている美女かもしれません。 「準主役」「相手役」「ライバル」などとも呼ばれるくらいの、その作品・ストーリーにおいて主人公に次ぐ大事な役割を持った登場人物が、そこに当てはまるはずです。 そうやって主人公にまで『反応』をさせれば、準主役・相手役の個性や魅力も際だちます。 主人公が「勝ちっぱなし」で完璧でも、ストーリーは盛り上がりません。 主人公が「反応」する瞬間とは、主人公が壁にぶち当たったり、思い通りに出来事が進まなかったりした瞬間でもあるはずです。 そこから、次にどうすべきか悩むことで、主人公の心に葛藤が生まれます。 悩むべき所では悩んでくれた方が、読者も主人公に共感・感情移入しやすくなります。 順風満帆な中での「行動」よりは、悩んだり壁にぶち当たったりしたうえでの「行動」 の方が盛り上がります。 主人公はストーリーの中で、何度も何度も行動します。 「その次の行動」を盛り上げるために、主人公にも細かく「反応」をさせたり、悩ませたりさせてください。  マンガで言えば、ページ数が許すかぎり主人公に「行動」と「反応」を繰り返させたうえで、テーマを伝えながら派手さ(インパクト)も強い「最大の行動」というものをさせます。 そんな「最大の行動」を主人公がおこなった瞬間が、クライマックスとなるのです。

おわりに

まずは、「ストーリーは、主人公に『行動』をさせることで盛り上がり、面白くなる」ということを強く意識してください。 ろくに行動しないで口ばっかりという主人公は、魅力的だとは思われません。 そんな人間が主人公では、ストーリーは盛り上がりません。 特に主人公は、作品の中で絶えず動かしてください。 「行動力がある」ことが、主人公のキャラクターの基本なのです。

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