【第五回 漫画テクニック】目の高さはどのくらい?顔の黄金比率をマスターせよ

漫画テクニック
目の高さはどのくらい?漫画テクニック

どうもマンガ家の東町青従です!
前回も書きましたが、「デスノート」や「バクマン」の小畑健先生、「スラムダンク」や「バガボンド」の井上雄彦先生のような絵であればもちろん誰が見ても上手いとわかるものですが、手塚治虫先生の「鉄腕アトム」やディズニーの「ミッキーマウス」のようなデフォルメされたキャラクターでも下手に見えないのはなぜでしょうか?

それは人間の体や顔を描く時には黄金比率があり、この比率を守ってデフォルメされているからです。それさえ頭に入れて描けばどんなに絵をデフォルメしてもバランスが崩れないということです。

前回の体に続き、今回は顔の比率とデッサンについて絵を交えながらお話しようと思います。

顔の黄金比率

みなさんはキャラの顔、つまり頭のてっぺんからアゴの先までを10分割して考えた時目がどのくらいの高さにあると思いますか?

7割くらい?いや8割でしょうか?絵を描くセンスのある人ほど引っかかりやすいこの問いの答えを一緒に解きほぐしていきたいと思います。

ではさっそく顔の描き方について、こちら↓の画像と共に見ていきましょう。

顔の黄金比率サンプル画像

まずは①の絵、目の位置ですが、顔の輪郭のちょうど真ん中あたりの高さになります。真ん中より上だと思われてることが多いですが、自分の指で測ってみるとわかりやすいかと思います。
ですが人の頭には髪の毛がありますので、顔の上半分はその分の高さをプラスして描くのを忘れないように気をつけて下さい。

「デスノート」や「バクマン」の小畑健先生などはさらに頭を広くとっていたりします。特に女の子の場合は頭が広い方が可愛く見えるようです。なので、頭のてっぺんから目と、目からアゴの先までの比率は、1.5:1くらいでもいいでしょう。

あとは描きながら自分の好みに合うところを探してみてください。

続いて目から下の鼻と口の位置は、目からアゴの先までを3分割して3分の2の高さに鼻があり、3分の1の高さのところに口があります。これも体同様にどんなにデフォルメした絵にも共通している黄金比率です。
あの「鉄腕アトム」や「ミッキーマウス」なども下手に見えない…むしろ上手く見えるのはこの比率を崩さずにデフォルメしているためですね。

ちなみに①の絵にある緑の正三角形は、この中に目と鼻と口を収めるように描くと整った顔に見えるという目安になります。
美男美女を描きたい時は意識してみるといいでしょう。

次は②の絵、目の比率にフォーカスしてみます。右目と眉間と左目の比率は1:1:1になります。
「両目の間(眉間)は目1個分の隙間を空ける」と意識すると覚えておきやすいかと思います。

そして今度は③の絵、さらに目をアップで見ていきます。これは白目と黒目の比率ですが、白目と黒目と白目が1:2:1になります。
ただこの②と③に関しては人によってデフォルメのしかたが異なるようです。

「ミッキーマウス」の目と目の間は少し狭いようですし、「ドラゴンボール」の悟空のような男らしいキャラクターは白目に対して黒目がかなり小さく描かれていることが多々見受けられます。
なのでここは自分が描きたいキャラクターに合わせて調節してみてください。

年齢による比率の変化

年齢による比率の変化サンプル画像1

生まれたての赤ちゃんや幼少期の顔では輪郭は丸く、目・鼻・口の位置が顔の下半分にあり、それぞれのパーツは中央に寄っています。10歳前後になると輪郭・目鼻立ちが徐々に整っていき、髪の量が増えていきます。

年齢による比率の変化サンプル画像2

年を重ねるにつれて目の位置は高くなり、目の大きさは小さくなっていきます。おじいちゃん・おばあちゃんになると目の高さは真ん中よりも上の位置になり、髪の毛の量が減っておでこが広くなっていきます。年齢別による描き分けについてはまた別の機会に詳しく解説したいと思います。

おわりに

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描くことは「見ること」です。
マンガを描くときもなるべくネットなどで資料を探して、なんでも「見ながら描く」を習慣づけるといいと思います。

デッサンもそうですが、必ずしもモデルや写真と全く同じに描く必要はありません。形が多少崩れても、遅くても下手でも気にする必要はないです。リラックスして根気強く観察して描いてみましょう。

見ながら描くことやトレース(原稿の下に写真や資料を置いて透かして描く)することを、何かズルしてるように思う人もいるかもしれませんが、プロも当たり前のように使っている1つの手法に過ぎませんから気にする必要はありません。

例えばスポーツをしている人が2人いて、上手い人のフォームを何度も確認して練習する人とそうでない人、どちらが早く上達すると思いますか?

答えは明白ですね。
また、誰かのマネをするとオリジナリティが損なわれる気がして躊躇する人もいるかと思いますが、マネしただけで無くなるようなものは個性ではないのでこれも心配する必要はありません。どんどん上手い人の技術を盗みましょう!

今回は顔の黄金比率とデッサンについてでしたが、次回からは手や足など細かい部分について解説したいと思いますのでよろしくお願いいたします。