著作権の保護期間とは~初期のミッキーマウスの著作権切れ~

最近、著作権法の議論が再び注目を集めています。
その中でも特に注目されるのが、初期のミッキーマウスに関する著作権の期限です。

アメリカでは初期のミッキーマウス(『蒸気船ウィリー(Steamboat Willie)』という短編アニメに登場するミッキーマウス)が、2024年1月1日に著作権切れとなり、いわゆるパブリックドメイン(PD)※1となったのです。

クリエイターが、作品を制作する上で避けては通ることのできない「著作権の保護期間」について、
「日本でも自由にミッキーマウスを使用することが出来るのか?」という点などについて確認をしながら、著作権について理解を深めていきましょう。

※1 
パブリックドメイン(PD)とは、
    著作権の保護期間(死後70年まで)が終了するなどして
    画像・音楽・映像・絵画・小説などの知的財産の著作権がなくなり、
    誰でも自由に使える状態のことをいいます。
    goo辞書

「著作権の保護期間」とは?

著作物を無断でコピーされたり、インターネットで利用されたりしないようにする権利である「著作権」は永遠にあるわけではなく、一定期間を経過した後は権利を消滅させ、社会全体の共有物として誰でも自由に利用することができるようにしています。
この権利が消滅しない一定期間を「著作権の保護期間」といいます。

「著作権の保護期間」は国によって年数が様々で、50年や70年と定めている国が多い傾向にあります。

【世界各国の著作権保護期間の一覧】

死後100年:メキシコ
死後99年:コートジボワール
死後80年:コロンビア
死後75年:グアテマラ、ホンジュラス
死後70年:日本、アメリカ、オーストラリア、ブラジル等、欧州連合(EU)加盟27ヶ国
死後60年:インド、ベネズエラ
死後50年:アラブ首長国連邦、中華人民共和国、韓国、台湾、香港、インドネシア等
死後30年:イエメン、イラン等
死後25年:ジプチ、スーダン等

使用する国の法律に従う形になりますので、
日本の著作物が他国で利用される場合は、他国の著作権法が適応され、
逆に他国の著作物が日本で利用される場合は、日本の著作権法が適用されます。

そのため、例えば
71年前に亡くなったメキシコ人のイラスト作品を使用する場合。
メキシコでは死後100年が保護期間に当たるため自由に使用することはできないが
日本では死後70年の保護期間が経過しているため、原則的に自由に使用することが出来ます。

日本の「著作権の保護期間」はあいまいで複雑

使用する国の法律に従う形と聞いて、
「もしかして1928年の初代ミッキーマウスの著作権は、日本ではすでに1998年に著作権が切れているのでは?」
と思った人もいるはず…。

しかし日本の「著作権の保護期間」は著作者の定義付け方で保護期間が変わり、
加えて、平和条約の義務により戦前の連合国の作品は保護期間が別途加算される影響や、
著作権の保護期間を約20年間延長する改正が繰り返され、とても複雑化しています。

【現在の著作権の保護期間(第51条~第54条)】

❶実名(周知の変名を含む)の著作物:死後70年
❷無名・変名の著作物:公表後70年(死後70年以内に公表されなければ、創作後70年)
➌団体名義の著作物:公表後70年(創作後70年以内に公表されなければ、創作後70年)
❹映画の著作物:公表後70年(創作後70年以内に公表されなければ、創作後70年)

日本でも自由にミッキーマウスを使用することが出来るの?

ミッキーマウスの著作権保護期間については諸説あり、初期のミッキーマウスは「何の著作物なのか」で保護期間が大きく変わります。
下記の図に、映画なのか美術作品なのかそれぞれの考え方でまとめました。

トータル6つの説があり、その中でも1989年5月ですでに終了している説や、2052年5月で終了する説と、最大63年の誤差が生まれております。
後者の説の場合は著作権がまだ切れていないことになります。

ですが、第五十八条には保護期間の特例として、「相互主義」という原則があり
今回の初期のミッキーマウスの場合は、自国(アメリカ)での保護が終了した為、相手国(日本等)での保護も終了するとされています。

しかし、ミッキーマウスを自由に使用できるかと問われると、「著作権」だけではなくディズニー社がもっている「商標権」についての理解が必要になります。
また、今回アメリカで著作権切れとなったのは、1928年に公開された短編映画の『蒸気船ウィリー(Steamboat Willie)』に登場する初期のミッキーマウスのみで、手袋を付けてカラーになった現代バージョンのミッキーマウスの著作権は継続されるため、誤った認識を持たないよう注意しましょう。

まとめ

著作権の期限が切れることは、文化的な遺産や創造性の促進にもつながり、
新しい作品やアイデアが生まれる機会が増え、それが文化の多様性や進化に寄与することが期待されます。

著作権について深く理解することは、難しい面もあります。
国ごとの法律や、国同士の条約・ルールで結果が左右されますので、必要に応じて専門家のアドバイスを受け、著作権侵害等の犯罪になってしまわないようにしましょう。

今回は大人気キャラクターのミッキーマウスについて触れながら著作権に関してお話しさせて頂きました。
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